• 『声心体一致のボイストレーニング。 ベルティングボイス&ミックスボイス習得で自分らしく自由な歌声を!』

    皆さんこんにちは!
    Vocal Studio 802 代表講師の井田幸乃です。

    今日は私の、悩める15年間についてお話ししたいと思います。

    音楽を始めたのは19歳からでした。一般的にはだいぶ遅めのスタートですね。昔から歌うのは大好きだったんですが、残念ながらあんまり上手に歌えるタイプではありませんでした。カラオケなんか行っても、張り切り過ぎて声がひっくり返っちゃったり、頑張り過ぎて友達引いてたり、今思うとなかなか痛々しい感じですね…。音楽教育は学校の授業以外で受けたことがありませんでしたし、特別歌唱力が高かったわけでもないのですが、とにかくその頃は歌うことが楽しすぎて、情熱が燃え盛っていて、「これはもう歌手になるしかない」と思いました。周りは「え、なぜ?」となっていました(苦笑)。

    ほとんど勢いだけでクラブシンガーとして歌い始めたのですが、歌の基礎がない上にあがり症の為、なかなか酷いライブをお見せしていたと思います(ごめんなさい)。そのうちアルバイト先のジャズクラブで歌う機会をいただいたのですが、録音の為に客席に置いておいたレコーダーには「素人のカラオケより酷いな」というお客様の声が入っていました。人前では歌うようになったものの、そのくらいの歌唱力だったのです。

    そんな辛いスタートだったとは言え、一度決めたことを諦めるわけにはいかないので、ジャズボーカリストの先生に師事しながら演奏活動を続け、20代半ば頃にはステージに立つことにも慣れてきましたし、ギャラをいただいて歌うことも増えました。

    20代後半では、歌唱の為の英語発音強化の為、カナダへ2年3ヶ月ほど語学留学に行き、発音矯正のトレーニングを受け、ジャムセッションに参加したり、現地の友人とライブイベントを開催するなどしました。

    そんな風に20代のほとんどを歌うことに費やした私は、帰国後、オーディションを経て、大手ボーカルスクールのインストラクターとなり、商業施設のショーシンガーを務め、音楽レーベルにも所属し、ハコバン(お店の専属バンド)もやりながら、さらに音楽への道を邁進して行くことになったのです。

    このように書くと音楽家としてちゃんとステップアップしているように見えるのですが、実情は全く異なっていました。環境自体がステップアップして行くのに、私自身の実力が追いついていないと感じており、そんな劣等感を抱きながら歌の仕事やトレーナーを続けるのは、とても辛いものでした。

    音楽歴だけは長くなって行くのに、私が持っていた歌に対しての悩みが根本的に解消されておらず、周りのプロフェッショナルなシンガーやボイストレーナー、ミュージシャンと比べて惨めな気持ちになり、コンプレックスを強めていきました。

    その根本的な悩みというのが、「喚声域をコントロールできない」「声が鼻にかかる」「声がこもる」というものです。音楽生活や練習の中で、少しは良くなったような気がしていたし、そうやって自分を励ましながらやってきました。ところが30代半ば、自分を見つめ直した時に、結局いつも同じことで悩んでいて、私は何も変わっていないし、そもそも歌を歌う素質を持ち合わせていないのかもしれないという思いに至りました。シンガー仲間は楽々と広い音域を歌えるのに、私は張り上げるか裏声の2択しかないしミックスボイスも不安定。トレーナー仲間は皆歌唱の悩みとは無縁な位上手いし、私は場違いなんじゃないだろうか。誰と比べても私の声には魅力がないように思える。そんな思いが強まっていきました。また、それを裏付けるように、現場でも「高音もっとしっかり出せない?」「ピッチどうにかして」「私があなたにボイトレしてあげたい」「プロじゃないね」など、プロデューサーや店のマスター、先輩から辛辣なコメントをいただくこともありました。

    15年間、練習もしてきたし、ボイトレにも通ったし、発声理論も学びボイストレーナーとしての資格を持ち、たくさんのステージに立ってきたのに、未だに同じことで悩んでいる自分に失望しました。まだまだ努力が足りないのかもしれない、或いは情熱を取り戻す必要があるのかもしれない、全てを捨てて歌の練習に時間を使うしかないかも、いやいくら練習してもダメなのかもしれないと、自分の限界を見た気がしました。

    そんな時にスタッフから「ベルティングボイスって何ですか?」という質問を受けました。恥ずかしながらベルティングボイス についての知識はほとんどありませんでしたので調べてみると「地声の響きで高音をダイナミックに歌う発声法」だそう。アデルやビヨンセ、ホイットニーヒューストンといった世界のトップシンガーがやる歌唱法ですね。私には絶対無理だろうなと思いつつ、できたら良いなという気持ちも捨てきれず調べて行くうちに、REBELTING発声法を知ることとなります。

    ベルティングボイスだけではなくミックスボイスやヘッドボイスといった全領域の声を整えるという概要を見て、私の声ももっと自由になるかもしれないと希望が湧きました。藁にもすがる思いでしたから、迷うこともなく動画の講座やワークショップ、体験レッスンを経てREBELTING発声法開発者であるChico氏の門下となりました。体験レッスンの時点で、今まで難儀して歌えなかった1曲が歌えるようになり、門下生になる時には、私の声は変われる、まだ成長できると確信を持っていました。

    入門して3ヶ月ほどでベルティングボイスの基礎を身体に叩き込み、残りの3ヶ月間でベルティングボイスを基盤としたミックスボイス等様々な声の開発を進め、結果的には半年で、歌いたい曲を歌いたい声で歌えるようになりました。具体的には、「喚声域が楽に地声ベースで出せる」「歌に込める感情と声のトーンが一致する」「今まで無理だった高音も楽に力強く歌える」「こもって鼻にかかった声がクリアになった」という成果を得られたのです。これらは、私が長年、できないできないと悩んできたことであり、半年前の私にとっては奇跡のような出来事あり、強烈な成功体験となりました。

    ライブ前に「このフレーズ、ちゃんと歌えるかな…」と思っていたところがたった半年で「歌えて当たり前で、テクニックや発声を気にせず感情を込めて歌える状態」になるということは、悩めるシンガーにとっては夢のような話ではないでしょうか。少なくとも私にとっては奇跡のような出来事でした。

    シンガーとしての悩みが解消されたことと同時に、トレーナーとして、同じように喚声域や高音の悩みを持つ人の助けになりたいと強く思うようになりました。長年できなかったことができるようになったという経験は、ボイストレーナーとして、生徒さんの悩みを解消できる、本当に役に立てるという自信となりましたし、悩めるシンガー達の助けになることが、今の私の大きな希望であり生きる原動力となっています。

    15年間の音楽生活は悩みや劣等感にほとんど支配されていましたが、苦しんでいるシンガーの気持ちに心から寄り添うことができるので、今ではそれが大きな財産だと思っています。

    長くなってしまいましたが、私の15年間の苦悩について告白でした。こんなことブログで書くの初めてかもしれないです(笑)。

    悩んでる人!あなただけじゃないですよーーー!

    声で悩んでる人も限界を感じてる人も、まだまだ全然未知の領域にレベルアップできますので、今日も希望を持って、良い1日を!

    井田幸乃